2017.11.28
インタビュー
タイトル:次世代型出世ビル 特別対談 | プロジェクトカンパニー × 髙木ビル
|次世代型出世ビルとは
企業の成長に伴うオフィス移転の際に、移転にかかる初期費用を削減し、手元の資金を事業の成長に投下してもらうことで、テナント企業の成長を支援する取組です。出世するテナントが多い縁起の良いビルをつくり、不動産会社としてテナント企業と共に相互に成長するビジネスパートナーでありたいという想いから、企業の成長支援を推進するプロジェクトとして取り組んでいます。
次世代型出世ビルでの取組は、建物や設備といったハード面での価値だけではなく、テナントのニーズを汲み取るといったソフト面によってビルの価値を高めることにつながります。
実際に次世代型出世ビルプロジェクトの支援サービスを利用し、虎の門髙木ビルに入居したプロジェクトカンパニー社と当社の対談インタビュー(2017年実施)をご紹介します。
対談インタビュー | プロジェクトカンパニー × 髙木ビル
| 次世代型出世ビルに入居した理由
ー 次世代型出世ビルプロジェクトの支援サービスを利用し、虎の門髙木ビルに入居されましたが、本プロジェクトの「移転の際にかかる初期費用を削減し、その分を事業に投下して大きく成長してもらおうという」試みにどんな感想をお持ちになりましたか?
土井:本当に助かるプロジェクトだと思いました。私たちのようなベンチャー企業は、売上が伸びているとはいえ、現金が手元に豊富にあるわけではありません。一年分の保証金を出すというと、なかなかキャッシュフロー上では難しい問題がありました。事業を成長させるためには、良いビルに入居したいと考えていましたが、今回このプロジェクトに出会えて、希望通りのビルに入居できたと考えています。
ー 今回のプロジェクトで浮いた費用はどのように活用されたでしょうか?
土井:直接、事業に投下するという形ではなく、人材採用、インターン生の拡大に使用しました。移転前は現在の1/5くらいのスペースでしたが、場所が広くなったことからも、人が採用しやすくなりましたね。
ー 今回のプロジェクトの概要を簡単に説明いただけますでしょうか。
髙木:プロジェクトカンパニー様には、次世代型出世ビルプロジェクトの支援サービスをご利用いただきました。次世代型出世ビルとは、テナント支援企業が集い各種サービスを提供し、入居者のテナント企業様に出世・成長いただくというプロジェクトとなります。
大きな柱としては、入居時の敷金(保証金)を保証契約に切り替えるという点です。テナント様は、おおよそ一年分かかる敷金(保証金)を半額でご入居いただけます。また、髙木ビル側の支援サービスとしてサイクルオフィスがありますが、今回、第一号案件となりました。サイクルオフィスとは、ビル側から一部の設備や配線、パーテーションを無償で貸し出すことで、入居時のイニシャルコストを下げることが出来るというサービスです。その他サービスもご利用いただいていますが、大枠ではこの2つをご利用いただいたという形になりますね。
ー パーテーションや配線を貸し出すというサイクルオフィスですが、どのようなものなのでしょうか?
髙木:オフィスの見た目的には全く変わりません。使われているパーテーションや配線関係、防災設備は、従来、入居時にテナント様が購入し設置、造作していただく設備になりますが、今回は、髙木ビルが所有しているパーテーションや配線関係といった設備を、テナント様にお貸しするという形になります。
設備を利用するというと居抜きがイメージされますが、サイクルオフィスは居抜きということではありません。ある程度可変性のある部分、例えばパーテーションの一枚ずつであったり、配線の電源タップなどが貸し出しの対象となります。こういった設備は、2~3年使っても、使えなくなるというものではありません。しかし、従来はテナント様にご購入いただいて、退去時にお金を払って撤去処分していただくというサイクルでした。これに対し、サイクルオフィスは、退去時にベーシックな設備をご返却いただき、また次のテナント様にも貸し出してご利用いただくサービスとなります。
ー テナント様のコスト削減にもつながり、資源の有効活用にもつながりますが、費用対効果の部分も含めこの取り組みを始めたのはどのような想いがあったのでしょうか?
髙木:今回のサイクルオフィスは、おおよそ賃料の1ヶ月分に相当する設備負担となりました。つまり、テナント様にとっては1ヶ月分のメリットがあるわけです。たとえば、同じ1ヶ月のメリットだとしても、入居交渉で1ヶ月のフリーレントを追加するのであれば、サイクルオフィスのような形で有益なオフィスの設備を貸し出す方が価値があると考えております。
テナント様にとっては同じ1ヶ月分ではありますが、サイクルオフィスであれば、1ヶ月の設備純増となります。一方、フリーレントであれば収益は0なので、会計上のメリットもありますね。また、今時点を考えると、1ヶ月分の負担とはなりますが、入居テナント様が退去する際には、次のテナント様へそのまま貸し出すこともできます。
我々にとっても良く、テナント様にもメリットが高い、双方良しのサービスではないでしょうか。今後の退去のサイクルの際にも、お金を払ってテナント様に処分いただくのであれば、無償で引き取らさせていただくことも考えています。
ー 今回プロジェクトカンパニー様は、保証金半額くん(※インタビュー当時のサービス名。現在は「敷金半額くん」)、サイクルオフィス、と様々なサービスをご利用頂きましたが、他にもこんなサービスがあればいいと思われた点はありますか?
土井:正直、至れり尽くせりでしたね。また、提携している信用組合さんもご紹介いただいて、プロパーで500万円の融資をしていただけることとなりました。この次世代型出世ビル、虎の門髙木ビルで出世していきたいという思いがあります。可能であれば、このビルで増床させていただきたいと思っています。
ー ご移転を決断されたときに、立地も含めビルを選ぶ重要なポイントはどこにあったのでしょうか?
土井:ビル自体の信頼性があることや、東京や赤坂にお客様が多いことから、その近場であることが挙げられます。その中で虎の門にしたのは、会計士など士業が多い古くからのビジネス街でありながら、開発も進み、これからまた賑やかになっていくという土地を気に入ったという点があります。古きを重んじつつ新しさもある、企業のカルチャーにも合う土地だと思っていますね。
ー 入居中に快適に仕事を行うためにオフィスにどのような設備やサービスが必要だと思われますか?
土井:清潔感と重厚感でしょうか。ここで働きたいよねと思える環境が重要ですね。クライアントも呼びたくなる環境であるか、社員もモチベーション高く仕事ができるかが指標となっています。その点、虎の門髙木ビルは、エントランスもピカピカで気持ちよく毎日を迎えられています。清潔感もあり、日々安心してモチベーション高く仕事ができていますね。キラキラすぎたり、高級感を出しすぎたりしているのは、ビジネスに合わないのではないかと思います。数年働くことを考えると厳しいように思いますね。
髙木:最近の流行りはガラスのビルになっています。この虎の門髙木ビルを建て替えるにあたり、敢えて石造りのビルにしました。百年つづくビルを運営していきたいと考えており、石は色あせないため月日が経つにつれてより味がでていくと思います。人は自然のものが、なんだかんだ落ち着くのではないでしょうか。歴史ある外堀通りに面していますのでその名のとおり「堀のイメージ」で石を使いたかったというのもあります。私なりの虎の門という土地に対する想いでもありますね。
また、外から見たときに出っ張り部分を作ったのが重厚感の秘訣となっています。実は、出っ張り部分を無くせば、部屋が広くとれます。ただ、それだと外観がのっぺりしてしまいます。事務所のスペースを何㎡増やすかよりも、ビルの重厚感や存在感の価値をプラスしていければと考えました。末永く愛してもらえるビルになったと思います。
ー ビル業界の動向も含めて今後選ばれるビルの条件はどうなっていくとお考えですか?
髙木:虎の門は開発が進み、スクラップアンドビルドが行われています。大きな開発もあり、このエリアだけでも数万㎡(オフィス面積が)増えると言われています。
活気がでる反面、二極化も進んでいくのではと予想しています。ビルのブランディングをどのように作れるかどうかが生命線となっていくと思いますね。その中で、次世代型出世ビルプロジェクトやサイクルオフィスというプロジェクトを作りました。テナント様と同じ目線でビジネスパートナーになるべきと舵を切りました。
ビル経営ということでいえば、賃料が収益源となりますが、賃料のことだけを考えていきますと価値の維持やビル経営に何を求めているかが時にずれてしまうように思います。中小ビルではハードやスペックだけでは大手さんには対抗できません。大手さんには難しい、テナント様のニーズをくみ取れる距離感がビル経営には必要ではないでしょうか。
今までビル経営はビルを所有しているだけという形が多かったと思います。そこから一歩脱却していかなければ、埋もれてしまう。オーナーとしての想いや価値を発信していかなければ選ばれなくなっていくのではないかと考えています。
ー このプロジェクトでは今までの大家と店子という関係から、テナントはビジネスパートナーであり、相互成長していくことが必要だと言われていましたがどのような意図があるのでしょうか?
髙木:これはビル経営者としての反省点でもあります。以前は、借主側と貸主側は会わないほうがいいとも言われたこともありますね。トラブルが起きたときを考えて、管理会社等を間に入れておいたほうが良いということです。それもメリットはあるのでしょうが、テナント様との距離がどんどん開いていってしまいます。ご希望やご不満点、満足感を感じなくなってしまいます。
ユーザーと離れていくというのは通常ビジネスとしては有り得ないはずですが、賃貸ビジネスでは間に人を入れるべきといわれてきました。
賃貸借契約ではあるけれど、ビルオーナーとテナントはビジネスパートナーであるという意識が必要ですね。テナント誘致までがビル経営であると考えがちですが、そのあとからが実際のビル経営だと考えています。
ー このプロジェクトは成長企業とビジネスパートナーとして相互成長していくことが大きな目的のひとつですが、プロジェクトカンパニー様がこのプロジェクトと相互成長できそうなことがあれば教えてください。
土井:同世代の経営者にも、こんなに至れり尽くせりのプロジェクトがあるんだと、広めていきたいと考えています。また、成長して出世ビルプロジェクトの一番の出世株といわれるようになりたいとも考えています。
髙木:今、20数棟のビルにご参画いただいているわけですが、今後さらに増えていくことで移転についてのハードルが下がっていくと考えています。次世代型出世ビル内でテナント様が移転しあったり、いろいろなエリアやサービスをビル単位で管理運営を協働することも考えています。
たとえば、出世ビルプロジェクトの入居テナント様ならばフリーで使えるコワーキングのようなスペースも良いでしょうね。既存の賃貸借の縛りやビル毎の縛りを超えた新しい使い方を提供できればと考えています。
ー 最後になりますがプロジェクトカンパニー様の今後の出世の予定をズバリお聞かせください
土井:設立当初から、2045年に1兆円企業になるという目標があります。常に目指していきたいと考えています。短期では、2020年に売上20億、2021年に上場というのをターゲットにしていますね。設立1年目から、今年、3倍弱まで成長していく予定です。このまま伸びていき、出世ビルの出世頭になりたいと考えております。
ー このプロジェクトを世に発信していくことで、どこへ向かって行こうとしているのかズバリお聞かせください
髙木:一言でいえば、「日本を元気にしていく」に尽きます。経済もそうですし、経営者もそうですし、働く人もですね。そういった大きな目標を紐解いて、還元したものがこのプロジェクトだと思っています!
| 対談後のフリートーク
髙木:2021年上場というのは素晴らしい目標ですね
土井:必ずやるという決意があります。
髙木:成長のキー、一番の課題はなんでしょうか。
土井:課題で言いますと、プロジェクト単位で力を発揮するというのはできています。このまま少しずつ成長していくというのは必ず出来ると考えていますが、大きな目標を考えたとき、どれだけ一致団結できるかがポイントになっていくと考えています。今後の価値提供をどうやって考えていくかが課題ですね。
髙木:人材確保についてはどうでしょうか。
土井:これまでは中途中心、インターン中心でやってまいりましたが、来年から新卒を採用していきます。企業のカラーに合うような組織体制を作っていければと考えています。採用については、比較的ブランディングが出来てきているため、順調です。東大出身メンバーによる会社ということもあり、後輩が結構来てくれています。元々の知り合い以外の新卒第一号が居ないので、来年の新卒採用が鍵ですね。
髙木:どのようなビジョンをお持ちでしょうか?
土井:プロジェクト型で仕事する社会を作りたいというのがおおもとの発想になります。日本を元気にしていきたいと考えています。一つ一つプロジェクトごとに仕事ができる人間が増えていく。そんなプロジェクトで活躍する人材が増えていきますと、日本の熱量が上がっていきます。ひいては、日本が元気になっていくのではと考えています。色々な人に参加できる機会を作ることで活性化につなげていきたいです。
髙木:活性化といえば地域が課題ですよね。次世代型出世ビルプロジェクトもいずれは日本各地の地域へ伝搬していきたいと考えています。
昨今、働き方改革と叫ばれる世の中ですが、プロジェクトカンパニー様の言われるようなプロジェクト型で活躍する場ができますと、日本中に眠っている優秀な人材が場所を問わず働くことが出来るのではないかと考えています。
都心のオフィスビルで働くという従来の方式が、ITシステムの発展によって地方でも展開してけば、地方創生のキーになるのではないでしょうか。こういった新しい働き方を民間の我々が、提案できれば面白い世の中になると思います。
ぜひ、プロジェクトカンパニー様に、日本を元気にしていただきたいと願っております!
■会社紹介
株式会社プロジェクトカンパニー
URL:http://projectcompany.co.jp
株式会社髙木ビル
URL:http://t-bldg.jp